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2024.06.26

西田俊英(24期)個展茨城会場鑑賞記                         感動の「不死鳥」まるで森の中

6月23日(日)、茨城天心記念五浦美術館(北茨城市)では小雨模様にも関わらず、会期最終日でもあり、出足が早く多い人出。

当日は4時起きして飯田線、上野始発電車に乗車、乗り換えての所要3時間半、最寄り駅「大津港」は無人。駅前のタクシー乗り場から5分ほどで現地に着いた(1,200円、帰路はタクシーを手配した関係もあり駅まで1,500円)。街道は一本道だが坂道でもあり徒歩では1時間はかかりそう。

前日の22日(土)は閉館時間まで賑わい、東京はもちろん、岩手、広島からの来館者を送迎と運転手。

幅広い世代に支持されているのが来館者で分かります。

窓口の女性に年間の来館者数を聞いてみると、コロナ禍もあって15万人もいない、と言う。

今回の西田俊英展「不死鳥」は前評判もあって茨城会場は会期60日ほどで、コロナ禍以来の人出を記録、一時は展示室を入場制限でした(最終速報14,497人・東京、名古屋、茨城の3会場で51千人・ヒアリング)。

館内展示室(写真・動画撮影禁止)は、まるで屋久島の神秘的な森の中に一人で居るような錯覚に陥ります。

水滴、流れ、根、苔、樹木、虫、鳥、比喩的で幻想的な表現の一つひとつが緻密で、その精巧さに西田俊英画伯の思い入れ、魂を感じます。

人間社会の多様な価値観も支配者によって歪み、自然を破壊、壁面的なパノラマ絵画は、第3章に入ったところ「自然と人間との共生」を迫ってきます。

その迫力や自然破壊で朽ちた化物植物、木々が襲いかかります。

花崗岩の島として縄文杉が地球の証として人間に忍び込んできます。土壌の少ない島の地質にも関わらず、一滴の水滴、雫をも苔は見逃さず、水分を水瓶のように蓄え、屋久島の自然、動植物の生育・生存を守り抜いているのです。

生来、このような絵画を直に鑑賞することは初めてのことです。

有史以来、紛争、戦争の絶えない人間社会のエゴ、地球環境の支配は、未来からの警鐘です。

宗教家でもない思想家でもない西田俊英画伯、地球人を代表した人生の集大成と言える大作画は、横山大観、奥村土牛、東山魁夷など世界的な日本画家の仲間入りをいたす存在と評価いたします。

伊勢人として後世に魂を残すは、神宮の森が育んだのでしょう。

早朝から日帰りの鈍行長旅をも忘れ、昭和40年代までは、高萩からいわき(福島県)にかけては賑わった炭鉱地で、シラス漁の盛んな大津港(北茨城市)五浦(いづら)海岸、近代日本の美術、思想の礎、祖の岡倉天心の地で感動・感激・感傷に浸る1日となりました。

大作「不死鳥」完成公開の暁には、同時に鹿児島屋久島を訪ねたいものです。

                             会報委員会 東村 篤(19期)

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